ご挨拶 of 日本消化器内視鏡学会 甲信越支部



日本消化器内視鏡学会甲信越支部長を拝命いたしました
新潟県立がんセンター新潟病院の小林正明です。

これまで、地道に内視鏡を続けてきた者にとりましては、この上なく光栄であるとともに、大変身の引き締まる思いです。松岡松三先生、市田文弘先生、小越和栄先生、藤野雅之先生、赤松泰次先生、佐藤公先生と続く、著名な歴代支部長の後任としては、甚だ力不足でありますが、甲信越の先生方のお力を借りながら、重責を果たしたいと思います。

甲信越支部は、名前の通り山梨、長野、新潟の3県で構成され、会員も1,200名を超える程の小規模の支部です。年2回の支部例会と、1月には支部セミナーを開催しており、2021年には第90回の支部例会を迎えることになります。3県間の移動は時間が掛かるため、交通の便の良い東京で集まった方が楽だろうと誰もが考えるのですが、3県持ち回りで例会とセミナーが行われてきました。今後は、リモートでの学会やセミナーが増加していくと思いますが、甲信越支部例会では、同じ時間と空間そして画像を共有して、これまで通り直接討論することを大事にして行きたいと思います。

甲信越支部の歴史を振り返りますと、日本消化器内視鏡学会の前身である胃カメラ学会が1959年に設立された際、甲信越地区は関東地方会に属していました。しかし、発表時間の制限や交通の事情などから、1965年に独立し、第1回支部例会(当時は地方会)を新潟市で開催しております。当初は年1回でしたが、1988年より春秋の年2回の開催となり、1989年から支部セミナーが開始されました。また、1983年に支部機関誌ENDOSCOPIC FORUM for digestive diseaseが発刊され、1992年からは北陸支部との合同機関誌となっています。1995年には全国に先駆けて、内視鏡消毒法ガイドラインが甲信越支部で作成され、ENDOSCOPIC FORUMで発表されました。これは、1998年制定の学会ガイドラインの基礎となっており、当支部の特筆すべき業績です。(当支部の歴史は、50周年記念特別寄稿ENDOSCOPIC FORUM 31:1‐16, 2015を参照ください。)

甲信越支部は、1例1例を大切にして、丁寧に、そして熱く討議することを例会の伝統としてきました。何よりも内視鏡画像の質にこだわり、良質な画像から何を読み取り、どのように考察したかを求めます。内視鏡は形態学であり、病理学的な検討も要求されます。この真剣勝負を重ねることは、若い内視鏡医への刺激となり、これを基礎として内視鏡学をさらに発展させる人材の育成につながると信じています。

甲信越支部会員の先生方が、キャリアアップいただけるように、そして、地域医療や医療者の育成に貢献していただけるように、精一杯努力する所存です。引き続き、一層のご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。

2020年6月
日本消化器内視鏡学会甲信越支部
支部長 小林正明