《質問》
【大腸がん検診について】
Q1-1 大腸がん検診は、どのような方法で検査するのでしょうか?Q1-2 どこに申し込めばいいですか?
Q1-3 便潜血検査では何を見てどう判断しているのですか?
Q1-4 便潜血検査の時、食事に注意する必要はありますか?
Q1-5 便潜血検査の時、生理と重なったらどうしたらいいですか?
Q1-6 便潜血検査が陽性だと、『大腸がん』なのでしょうか?
Q1-7 便潜血検査陽性の時におこなう精密検査にはどんな方法があるか教えて下さい。
【大腸内視鏡検査について】
Q2-1 大腸内視鏡検査とはどのような検査ですか?Q2-2 どんな時に、大腸内視鏡検査を受けたほうがいいのでしょうか?
Q2-3 大腸内視鏡検査の流れを教えてください。
Q2-4 検査は痛いですか?
Q2-5 検査にかかる時間はどのくらいですか?
Q2-6 検査や検査の準備に伴う有害事象はありますか?
Q2-7 検査後に注意すべきことはありますか?
Q2-8 検査前に薬を飲んでも大丈夫ですか?
Q2-9 結果はいつわかりますか?
Q2-10 生理中でも検査をうけることはできますか?
Q2-11 妊娠中や授乳中は検査を受けられるのでしょうか?
Q2-12 昨年も大腸内視鏡検査を受けましたが、今年も受ける必要はありますか?
Q2-13 以前内視鏡検査がとてもつらく、『腸に癒着がある』と言われたのですが、もっと楽に受ける方法はないでしょうか?
Q2-14 検査中ポリープが見つかった場合、その場でとってもらえますか?
Q2-15 大腸だけでなく、肛門周囲も診てもらえますか?
【その他の精密検査方法】
Q3-1 大腸X線検査についてQ3-2 大腸CT検査(CTコロノスコピー)について
Q3-3 大腸カプセル内視鏡検査について
《回答》
【大腸がん検診について】
Q1-1 大腸がん検診はどのような方法で検査するのでしょうか?
大腸がん検診の主な方法は「便潜血検査」です。便に血液が混じっているかを調べ ることで大腸に異常がないかを確認します。この検査は非常に簡便で、検便キット を使って自宅で便を採取し、検査機関に提出する形で行われます。
Q1-2 どこに申し込めばいいですか?
大腸がん検診は、地域の保健センター、市区町村の健康診断プログラム、または 職場の健康診断で受けることができます。また、かかりつけの医院や病院でも申し 込むことが可能です。
Q1-3 便潜血検査では何を見てどう判断しているのですか?
便潜血検査では、便中に血液が混じっているかどうかを調べます。日本では免疫法 (ヒトの赤血球に含まれるヘモグロビンというタンパク質に特異的に反応する試薬 を用いて便に含まれる少量の血液を検出)を用いています。 血液が検出されると「陽性」、検出されなければ「陰性」となります。陽性の場合、大腸や 直腸に何らかの異常がある可能性があるため、精密検査を受けることが推奨されます。
Q1-4 便潜血検査の時、食事に注意する必要はありますか?
免疫法では特定の食事による影響を受けにくい設計になっているため、特別な食事 制限はありません。ただし、検査の前に医師から特別な指示があればそれに従う ようにしましょう。
Q1-5 便潜血検査の時、生理と重なったらどうしたらいいですか?
生理中に便潜血検査を行うと、便に混じった経血が影響して陽性となる可能性が あるため、この期間は検査を避けることが望ましいです。生理が終わった後に改め て検査を行うようにしてください。
Q1-6 便潜血検査が陽性だと、『大腸がん』なのでしょうか?
便潜血検査が陽性であっても、必ずしも大腸がんであるとは限りません。ポリープ や炎症、痔など、他の要因で便に血液が混じることもあります。ただし、陽性の場合は 大腸がんの可能性を否定できないため、精密検査を受けることが重要です。
Q1-7 便潜血検査陽性の時におこなう精密検査にはどんな方法があるか教えて下さい。
精密検査としては「全大腸内視鏡検査」が第一選択となります。 大腸の癒着や狭窄などのために大腸全体を内視鏡で観察することが困難な場合は、 「大腸内視鏡検査」と「大腸X線検査(造影検査)」を併用して内視鏡が届かない奥の状態を 確認したり、「大腸X線検査(バリウム注腸検査)」「大腸CT検査(CTコロノスコピー)」での 確認が検討されます。
【大腸内視鏡検査について】
Q2-1 大腸内視鏡検査とはどのような検査ですか?
大腸内視鏡検査は、内視鏡を肛門から挿入し、大腸全体を直接観察する検査です。 ポリープや腫瘍、炎症などの異常を早期に発見することができます。
Q2-2 どんな時に、大腸内視鏡検査を受けたほうがいいのでしょうか?
大腸内視鏡検査は、便潜血検査で陽性だった場合や、大腸がんの家族歴がある 場合、または長期間の腹痛や下痢、便秘が続く場合に受けることが推奨されます。
Q2-3 大腸内視鏡検査の流れを教えてください。
1) 2~3日前から繊維質の多い食材を避けるようにしましょう。検査前日は20時~21時
までに夕食を食べ、下剤を飲みます。
2) 検査当日 朝食をとることはできませんが、水は飲んでいただいて大丈夫です。
検査終了後まで食事はひかえてください。
朝から腸管洗浄液(または錠剤)を内服して腸管をきれいにします。
3) 準備が整ったら専用の検査着に着替えて検査台の上で横になります(医師に背中を
向ける姿勢で始まります)。
4) 内視鏡を肛門から挿入し、盲腸まで到達したら今度は抜きながら大腸全体を観察
します。検査中は空気(または二酸化炭素)を送り込んで腸管を広げ病変がないか
注意深く観察します。必要に応じてポリープの切除や生検(組織採取)が行われます。
※腸管をきれいにする方法や検査中鎮静剤を使用できるか等の対応は、医療機関
によって異なります。検査予約の際にご確認ください。
Q2-4 検査は痛いですか?
個人差がありますが、多くの人はおなかのはりや軽い不快感を感じる程度です。腸が長い 方や癒着がある方では痛みが出てしまうことがあるため、必要に応じて鎮静剤や鎮痛剤を 使用する場合もあります。
Q2-5 検査にかかる時間はどのくらいですか?
腸管がきれいになれば、検査自体は通常20?30分程度で終了します。ただし、病変 がみつかった場合には精査や切除に時間がかかることがあります。鎮静剤を使用した時は、 検査後さらに1~2時間程度休む時間が必要となります。
Q2-6 検査や検査の準備に伴う有害事象はありますか?
① 小腸や大腸に非常に狭い部位がある場合、前処置(腸管洗浄液をのんで腸をきれいに
する)によって腸管内圧が上昇し、腸閉塞や腸管穿孔をおこす可能性があります。
「冷や汗が出る」「吐き気がある」「お腹が痛い」などの症状がある場合は、すぐに検査を受ける医療機関にご相談ください。
② 脱水にともなって生じる病気(急性心筋梗塞、脳梗塞、虚血性大腸炎、腸間膜静脈
血栓症など)が起きる可能性があります。特に高齢者の方は注意が必要となりますので、
水分をしっかりとることや内服薬の確認(検査当日内服を止めたほうがよいか、続けるか)をお願いします。
③ 薬剤に関するもの(中止薬による影響、薬剤アレルギーなど)
一般的に、高血圧や心疾患の薬は中止せず内服を継続します。(持病の種類や状態
によって異なります)。
糖尿病の薬は低血糖になる危険があるため、原則中止となります。
抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)はポリープの切除が予想される場合には休薬する
場合がありますが、観察のみの場合休薬は不要です。
必ずお薬手帳を持参して、内視鏡検査・処置を受ける医療機関で確認してください。
④ 内視鏡検査は基本的に安全な検査ですが、出血や穿孔などの偶発症をおこすことが
まれにあります。観察及び治療に伴う偶発症発生頻度は、全国集計(2008年~2012年)で0.011%と報告されています。
Q2-7 検査後に注意すべきことはありますか?
検査のみの場合特に注意事項はありません。お腹にガスが溜まることがありますが、 自然に解消されます。 組織を採取したりポリープを切除した場合は、数日間食事やアルコール摂取が制限される 場合があります。各医療機関にて検査後に注意事項の説明がありますのでご確認ください。 鎮静剤を使用した場合には検査後一定時間休む必要があり、当日は車の運転や 危険を伴う作業は避ける必要があります。ただし、薬剤の種類によっては車の運転が 可能な場合もありますので、検査を受ける医療機関の指示に従って下さい。
Q2-8 検査前に薬を飲んでも大丈夫ですか?
服用している薬については事前に医師に相談する必要があります。
1)糖尿病の薬やインスリン注射については、低血糖のリスクがあるためよく確認
してください。
2)抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)は、内視鏡観察や組織採取の場合原則として休薬
不要です。
ポリープ切除の場合は薬の種類や病変の大きさ・形によって対応が異なりますので、検査
を受ける医療機関でよく確認してください。
Q2-9 結果はいつわかりますか?
検査結果は検査終了後に説明があります。ただし、鎮静剤を使用した場合や組織を採取した 場合は2~3週間後に外来で説明となるため、次回外来予約日時について確認してください。
Q2-10 生理中でも検査をうけることはできますか?
生理中でも大腸内視鏡検査は可能です。ただしこの期間は生理痛があったり、貧血 気味で体調がすぐれない場合もあるため、不安がある場合は検査を受ける医療機関 にご相談ください。 検査の時は、検査着に着替え臀部の下には吸水性のあるシーツを敷いて行います。 ナプキンを少し前方にずらしてあてたり、タンポンを使用することで経血をあまり気に なさらず検査を受けて頂くことが可能です。
Q2-11 妊娠中や授乳中は検査を受けられるのでしょうか?
・妊娠中の大腸内視鏡検査は、できる限り控えたほうがよいとされています。産科
と消化器内科の医師が相談をして、必要性が高い場合のみ慎重に行われます。
妊娠の可能性がある場合は必ず検査を受ける医療機関にその旨をお伝えください。
・授乳中は内視鏡検査は可能です。ただし、鎮静剤などの使用を希望される場合
は母乳を介して乳児に影響が出る可能性があるため、検査後一定時間授乳を控える必要があります。
授乳中止期間は使用する薬剤によって異なりますので、医師と相談してください。
Q2-12 昨年も大腸内視鏡検査を受けましたが、今年も受ける必要はありますか?
2020年に発表された日本消化器内視鏡学会のガイドラインによると、前年大腸
内視鏡検査を受け今年も受ける必要があるのは以下の方々です。
a. 大腸がんの内視鏡治療・外科治療を行った方
b. 10個以上のポリープ(腺腫)を切除した方
c. 20mm以上の大きなポリープ(腺腫)の内視鏡治療を行った方
他にも、ポリープが見つかったものの経過観察となっている場合や、前回大腸に便が
残っていて観察が不十分であった場合、一つの病変を複数回にわけて切除した場合
(分割切除)など、翌年も内視鏡査を受けたほうがよい場合があります。
医師と相談して、適切な検査間隔を決めることをお勧めします。
Q2-13 以前内視鏡検査がとてもつらく、『腸に癒着がある』と言われたのですが、もっと楽に受ける方法はないでしょうか。
腹腔内に癒着がある場合や腸管が長い場合、内視鏡検査は痛みを伴うことがあり ます。体位を変えたり挿入方法を工夫しても痛みが出る場合には、鎮静剤や鎮痛剤 を使用することで痛みを減らして検査を受けることができます。 鎮静剤を使う場合は呼吸抑制などの副作用に注意する必要があり、血圧や酸素濃度 のモニタリングが必要となります。通常鎮静剤を使用した場合は車の運転ができません が、薬剤の種類によっては可能な場合もありますので、検査を受ける医療機関の指示 に従って下さい。
Q2-14 検査中ポリープが見つかった場合、その場でとってもらえますか?
検査中にポリープが見つかった場合、必要に応じて小さなものは切除したり組織を一部 採取して病理組織検査に提出することがあります。 ポリープの大きさや場所・形状によって、また内服している薬によっては後日改めて切除が 必要となる場合もありますのでご了承ください。
Q2-15 大腸だけでなく、肛門周囲も診てもらえますか?
大腸内視鏡検査では主に大腸内を観察しますが、肛門周囲も確認します。 肛門周囲の症状が気になる場合は、検査が始まる前に医師にお伝えください。
【その他の精密検査方法】
Q3-1 大腸X線検査について
大腸X線検査(バリウム注腸検査)は、バリウム(造影剤)を肛門から注入した 後に空気を挿入して、大腸の形状をX線で撮影して異常の有無を確認する方法です。 便が残っていると十分な観察ができないため、前日または当日下剤を飲む必要 があります。また鮮明に大腸粘膜の様子を撮影するために腸の動きを止める薬剤を 使用する場合があります。
Q3-2 大腸CT検査(CTコロノスコピー)について
大腸CT検査は、CTスキャンを用いて大腸を3D画像として撮影し、コンピュー ター処理によって3次元画像を作成し内部の詳細な構造を確認する方法です。 大腸内視鏡検査と同じく下剤を服用する必要があります。また腸の動きを止める 薬剤を使用する場合があります。
Q3-3 大腸カプセル内視鏡検査について
薬のカプセルのような形状をした内視鏡を、水と一緒に飲み込み、腸管内部を進
みながら内蔵の小型カメラで写真を撮影していきます。大腸内で撮影した画像は、
体に貼り付けたセンサ-を経由して肩にかけた記録装置に転送されます。
検査後、専門医が専用コンピューターで解析し、ポリープの有無の確認を行います。
腸に狭窄がある場合には、検査を受けることができません。大腸内視鏡検査が施行
困難で、過去に全大腸内視鏡検査が受けられなかった場合などに保険適用での
検査が可能となります。
※上記検査方法はいずれも、癒着や狭窄などの理由で大腸全体を内視鏡検査で観察する
ことが困難な場合に代替手段として用いられる方法となります。小さな病変は描出しづらか
ったり、ポリープと残便の鑑別が難しい場合があります。
また、ポリープの切除などの治療は行えないため、検査結果で必要と判断された場合には
後日改めて内視鏡検査が必要となる可能性があります。
さらに詳しく知りたい方は下記HPも参考になさってください。
日本消化器内視鏡学会HP【市民のみなさま】消化器内視鏡Q&A(jges.net/citizen/faq)
![]() 大腸がん健診Q&A |
![]() Let's!大腸がん健診! パンフレット |
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